古代小麦とグルテンタンパク質について
最近、
全粒粉パンが体に良い。
フィチン酸は体に悪い。
グルテンは危険。
そんな言葉を耳にする機会が増えました。
しかし実際には、
それほど単純な話ではありません。
私は古代小麦を石臼で製粉し、
全粒粉100%のパンを焼いています。
だからこそ、
全粒粉の良い面も、
注意すべき面も、
どちらも知っておく必要があると思っています。
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全粒粉とは何か
一般的な白い小麦粉は、
小麦の中心部分である胚乳だけを使います。
一方、
全粒粉は、
小麦を丸ごと挽いた粉です。
小麦は大きく分けると、
・胚乳
・胚芽
・表皮(ふすま)
で構成されています。
全粒粉には、
これらすべてが含まれています。
そのため、
食物繊維
ミネラル
ビタミン
ポリフェノール
などが豊富です。
昔の人類は、
現在のように真っ白な小麦粉を食べていたわけではありません。
石臼で挽いた、
もっと粗い全粒粉に近い穀物を食べていました。
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全粒粉の魅力
私が全粒粉を好む理由は、
栄養価だけではありません。
香りです。
穀物本来の香り。
土のような香り。
ナッツのような香り。
それらは胚芽や表皮に多く含まれています。
白い小麦粉では味わえない、
複雑な風味があります。
特に古代小麦では、
その違いが顕著に現れます。
アングランは濃厚で甘い香り。
アミドニエは深い旨味。
エポートルは上品で繊細な香り。
これらは全粒粉だからこそ感じられる個性です。
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フィチン酸とは何か
しかし、
全粒粉には注意点もあります。
その一つがフィチン酸です。
フィチン酸は、
穀物や豆類が持つ天然の成分です。
植物にとっては、
種が発芽するための栄養の貯蔵庫のような存在です。
問題視される理由は、
カルシウム
鉄
亜鉛
マグネシウム
などのミネラルと結合しやすいことです。
そのため、
過剰に摂取すると、
ミネラルの吸収を妨げる可能性があるとされています。
これが、
全粒粉は体に悪いと言われる理由の一つです。
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では全粒粉は悪いのか
私はそうは思いません。
なぜなら、
人類は何千年も全粒粉を食べ続けてきたからです。
もし全粒粉そのものが危険なら、
農耕文明そのものが成立しなかったでしょう。
重要なのは、
昔の人たちは現代とは違う方法で穀物を食べていたということです。
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発酵という知恵
昔のパンは、
ほとんどが天然酵母でした。
長い時間をかけて発酵させていました。
実は、
この発酵が非常に重要です。
ルヴァン発酵の中では、
乳酸菌や酵母が働きます。
その過程で、
フィチン酸を分解する酵素が活性化します。
これをフィターゼと呼びます。
長時間発酵した生地では、
フィチン酸が大きく減少することが知られています。
つまり、
全粒粉を食べることが問題なのではなく、
どう加工し、
どう発酵させるかが重要なのです。
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グルテンとは何か
もう一つ議論になるのが、
グルテンです。
グルテンは、
小麦に含まれるタンパク質です。
正確には、
グリアジンとグルテニンという二種類のタンパク質が、
水と結びついて形成される網目構造です。
パンが膨らむのは、
このグルテンがガスを保持するからです。
つまり、
パン職人にとっては欠かせない存在です。
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古代小麦と現代小麦のグルテン
ここで重要なのは、
グルテンがあるか無いかではありません。
どんなグルテンなのかです。
現代小麦は、
大きく膨らむこと。
機械製パンに耐えること。
大量生産しやすいこと。
そのために改良が進められてきました。
結果として、
強いグルテンを持つ品種が主流になりました。
一方、
古代小麦は違います。
アングラン。
アミドニエ。
エポートル。
これらは現代小麦ほど強力なグルテンを持っていません。
だから製パンは難しくなります。
高さも出にくい。
扱いも難しい。
しかしその代わりに、
穀物本来の風味を残しています。
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古代小麦はグルテンフリーではない
誤解されやすいことがあります。
古代小麦はグルテンフリーではありません。
アングランにもグルテンがあります。
アミドニエにもあります。
エポートルにもあります。
ですから、
セリアック病や小麦アレルギーの方が食べられる小麦ではありません。
ここは正確に理解する必要があります。
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それでも選ばれる理由
それでも、
古代小麦を選ぶ人がいます。
実際に、
トロワパンにも、
「他のパンは食べられないけれど、こちらのパンは大丈夫だった」
というお客様が来られます。
もちろん、
これは医学的な保証ではありません。
個人差があります。
しかし私は、
そこに何らかのヒントがあるのではないかと思っています。
小麦の種類。
製粉方法。
全粒粉であること。
そしてルヴァンによる長時間発酵。
そのすべてが関係している可能性があります。
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私たちが目指していること
私は、
グルテンを悪者にしたいわけではありません。
全粒粉を神格化したいわけでもありません。
大切なのは、
穀物を理解することだと思っています。
どんな小麦なのか。
どのように育ったのか。
どのように挽かれたのか。
どのように発酵したのか。
そこを見ずに、
グルテンが悪い。
全粒粉が良い。
そう単純に結論づけることはできません。
私たちは、
古代小麦を石臼で挽き、
全粒粉のまま、
自家製ルヴァンでゆっくり発酵させています。
それは流行を追うためではありません。
穀物本来の姿に近づきたいからです。
パンを否定するのではなく、
小麦を理解すること。
その先に、
本当に自分に合った食べ方が見えてくるのではないでしょうか。
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この記事を書いた人
小川芳治
・フランス で古代小麦製パンを研修
・石臼製粉
・古代小麦専門店「トロワパン」





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